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忠僕 池谷 信三郎


嘉吉は山の温泉宿の主人だった。この土地では一番の物持ちで、山や畑の広い地所を持っていた。山には孟宗の竹林が茂り、茸畑にきのこが沢山とれた。季節になると筍や竹材を積んだトラックが、街道に砂埃をあげ乍ら、七里の道を三島の町へ通っていった。
嘉吉はまだ三十をちょっと超したばかりの若い男だった。親父が死んだので、東京の或る大学を止めて、この村へ帰って来た。

Nao
 
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