朗読者、朗読作品募集中です



井戸


新美南吉


カヤナの村の
朝の井戸、
おほぜい子供が来てました。

カヤナの村の
井戸のそば、
はだしの子供も来てました。

ああ湧いてゐる、
すんでゐる、
みんなが覗いてをりました。

みんなの顔の
耳たぶの
耳環
もうつつてをりました。

誰かお花を
落したら
うつつたお空がゆれました。

カヤナの村の
井戸の水
ゆうべはじめて湧きました。

乳母車


新美南吉


坊やがせがむと
乳母車、
つばきの花をつけられる。

そしてくる/\
くる/\と、
ご門のとこまでひかれてく。


坊やがねないと
乳母車、
ねんねこようをきかされる。

そしてゆら/\
ゆら/\と、
ぶらんこみたいに揺
ゆす
られる。

坊やがねちやうと
乳母車、
日かげにそつといれられる。


そしてふんはり
ふんはりと、
もひとつ毛布をのせられる。

芝の芽


土田耕平

芝の芽の萌えるころは
ふるさとの丘を思ひだす
ゆるやかにふわふわと雲の浮かんだ
あの丘山を
犬ころが走り
凧があがり
ぼくらは寝そべつてゐたつけが
「どこへ行かうかな」
「大きくなつたら」
「海へ――空へ――遠いところへ――」
誰やかれやみんな叫びあつた――
芝の芽の萌えるころは
ふるさとの丘を思ひだす
ゆるやかにふわふわと雲の浮んだ
あの丘山を
ああ誰もかれも
みんな大きくなつただらうな

雪のよる


村山籌子


ねえむい
ねむい
ゆきのよる
くうらい
のきばで
はとぽつぽ
ぽつぽとなけば
さみしいな。

とろとろ
ねむる
めがさめる
ぽつぽとないた
はとぽつぽ
どこへいつたか
さみしいな。

もしも、あめのかはりに


村山籌子


もしも、あめのかはりに
ねこだの
いぬだの
ねずみだのがふつてきたら
まあ、
どんなにおかしいでせうね。
そして、
それが、
いくにちも
いくにちも
ふりつづけたら、
まあ
せかいぢうは
ねこだらけ、
いぬだらけ、
ねずみだらけに
なるでせうね。

〈あかい、やさしい はなもやうが〉


村山籌子


あかい、
やさしい はなもやうが、
とびとびに ついた
きものをきて、
あをい やはらかい
おびを しめた、
しづかな、おとなしい
をんなのこどもが、
そろり、
そろりと、
いつぱい とほる。
いつぱい とほる。
ほんとに わたしは
らんばうもの
おさらは こはすし
インクは こぼすし
時計は ころがすし
おはしは をるし
ばた/\ あるくし
むしは ころすし、
わたしは
せかいのらんばうもの。
わたしのふくが赤かつたら、
わたしのおびが青かつたら、
わたしは もうすこし
おとなしいのに。
らんばうもの。
おかあさまもおつしやつた。
おにいさまもおつしやつた。
そして、
お前は
いゝ子だとは、
けつして、けつして
おつしやらない。
もしも わたしが
おとなしい
女のこどもにうまれたら、
わたしは どんなに
うれしいかしら。
そして、わたしは
ほんとに、ほんとに
やさしさうに笑ひながら
おてんとさままで、
あるいてゆかう。
そろり、
そろりと、
あるいてゆかう。

おままごと


村山籌子


うめのはな
うめのはな、
えだのうへで
あつたかいね。
ぽか ぽか
あつたかいね。
しろいごはん、
しろいごはん
おかまのなかで
あつたかいね。
ぽか ぽか
あつたかいね。

〈かみのすくない カテリーナ〉


村山籌子


かみのすくない カテリーナ
おもてにでたら、
かぜがきて、
だいじな だいじな かみのけを、
いつぽん
いつぽん
ふいたので、
かなしくなつて
ないてたら、
たう/\かぜを
ひきました。

朗読者都井朋子

佐藤 愛 Ai Satou


プロフィール
出身地:岩手県
好きなもの
恐竜、キラキラしたもの、お酒、絵本、朝の時間、ハープ、日本庭園巡り、キジバトの声、射的、ストーリーテリング、友達とお茶などなど。


はじめまして。
「早く帰りたいな~」と思いながらも、何やかんやで毎日、楽しくOLやってます(笑)
朗読、楽しんでもらえたらうれしいです。
朗読カフェのおかげで、青空文庫が身近なものになりました。
これからも、よろしくお願いします。

Nao
 
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