朗読者、朗読作品募集中です

よだかの星


宮沢賢治


 よだかは、実にみにくい鳥です。
 顔は、ところどころ、味噌をつけたようにまだらで、くちばしは、ひらたくて、耳までさけています。
 足は、まるでよぼよぼで、一間とも歩けません。
 ほかの鳥は、もう、よだかの顔を見ただけでも、いやになってしまうという工合でした。
 たとえば、ひばりも、あまり美しい鳥ではありませんが、よだかよりは、ずっと上だと思っていましたので、夕方など、よだかにあうと、さもさもいやそうに、しんねりと目をつぶりながら、首をそっ方へ向けるのでした。もっとちいさなおしゃべりの鳥などは、いつでもよだかのまっこうから悪口をしました。
「ヘン。又出て来たね。まあ、あのざまをごらん。ほんとうに、鳥の仲間のつらよごしだよ。」
「ね、まあ、あのくちのおおきいことさ。きっと、かえるの親類か何かなんだよ。」
 こんな調子です。おお、よだかでないただのたかならば、こんな生はんかのちいさい鳥は、もう名前を聞いただけでも、ぶるぶるふるえて、顔色を変えて、からだをちぢめて、木の葉のかげにでもかくれたでしょう。ところが夜だかは、ほんとうは鷹の兄弟でも親類でもありませんでした。かえって、よだかは、あの美しいかわせみや、鳥の中の宝石のような蜂すずめの兄さんでした。蜂すずめは花の蜜をたべ、かわせみはお魚を食べ、夜だかは羽虫をとってたべるのでした。それによだかには、するどい爪もするどいくちばしもありませんでしたから、どんなに弱い鳥でも、よだかをこわがる筈はなかったのです。
http://www.aozora.gr.jp/cards/000081/files/473.html

小松 茉里

岩手山のお気に入りの風景です

小松 茉里

誕生日:1992年2月10日
職業:大学生
現住所:岩手
好きなもの:朗読、読書、書道、茶道、映画、写真、スポーツ観戦etc...

沢山の人に私の声を聴いて貰いたい、沢山の人に出会いたい!
そんな想いで参加しました。
高校で朗読を始め、今に至ります。
生まれも育ちも田舎の、ただの学生ではありますが、誰か1人でも、私の朗読を聴いて心を動かしてくださる方がいらっしゃれば、と思います。
このカフェに参加してらっしゃる方々は勿論ですが、お聴きになっている方ともコミュニケーションが取れれば嬉しいです。
ご意見ご感想、お待ちしております。

イーハトーブの地から、宮沢賢治の作品を中心にお送りします。

よろしくお願いいたします。


Nao